2025.01.16(木)
新着情報
[ 診療料金に関するお知らせ ]
当院では、皆様のご負担を少しでも軽減できるよう自助努力を続けて参りました。しかし、昨今の物価や光熱費の高騰、さらに検査関連費用や医療部材等の価格上昇に伴い、従来の価格を維持することが難しくなっております。そのため、やむを得ず診療費を原価に応じて改定させていただくこととなりました。
飼い主様にはご負担をおかけすることとなり、誠に心苦しい限りですが、今後も高品質な医療とサービスを維持・向上させるための決断でございます。
診療費についてご不明な点やご質問がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
今後とも、皆様の大切なご家族の健康を守るため、スタッフ一同尽力して参りますので、何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
佐橋動物病院
2024.12.09(月)
新着情報
[ 年末年始の診察について ]
年末年始の休診のお知らせです。
〜12月29日(日) 通常診察(午前まで)
12月30日(月)〜1月3日(金) 終日休診
1月4日(土) 通常診察
1月5日(日) 手術予定ため終日休診
継続的にお薬、お食事等が必要な方は気をつけていただくようお願いします。
尚、年末年始休診日におきましても、点滴等、継続診察が必要な患者様に関しては、予約にて診察を実施しております。
予め院長かスタッフまでご相談下さい。
ご迷惑おかけしますが何卒ご理解のほどお願いします。
良いお年をお迎え下さい。
2025.02.08(土)
コラム
[ <フィラリア・ノミダニ予防と春の健康診断とお知らせ> ]
春になると、フィラリア予防・ノミ・マダニ予防・狂犬病予防接種が始まります。特にフィラリア症は、蚊を媒介として愛犬の肺動脈や心臓に寄生する危険な病気です。
<フィラリア予防について>
フィラリアの予防期間は地域によって異なりますが、感染開始の1ヶ月後から感染終了の1ヶ月後までの投薬が推奨されています。HDU(Heartworm Development Unit)の計算によると、兵庫県では平均的に5月20日から11月10日までがフィラリアの感染期間とされています(最も早い場合は4月30日、最も遅い場合は11月19日)。
したがって、兵庫県では一般的に5月末~6月初旬から11月末~12月初旬までの7回投薬で予防が可能です。ただし、生活環境によって最適な予防期間が異なる場合がありますので、不安や疑問がございましたらご相談ください。
当院では毎年フィラリア感染を確認しており、中には重症化し命に関わるケースもあります。大切な愛犬・愛猫を守るために、必ず予防を行いましょう。
<ノミ・マダニ予防について>
近年、猫のフィラリア感染も報告されており、ノミ・マダニ予防とあわせての対策をおすすめします。昨年、当院では重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に罹患した動物が確認され、残念ながら死亡例も発生しました。SFTSはマダニを媒介する感染症で、重篤な症状を引き起こす可能性があります。
屋外での活動が多い動物は特にリスクが高いため、定期的な予防が非常に重要です。当院では効果的な予防薬をご用意しておりますので、ご検討ください。
春の混雑を避けるために
4月になるとフィラリア予防・ノミ・マダニ予防・狂犬病予防接種が重なり、病院が非常に混み合います。特に週末は待ち時間が長くなる可能性がございます。
そこで、2~3月の早めのご来院をおすすめします。この時期であれば、待ち時間を短縮できるほか、時間をかけてゆっくり診察を受けることができます。
また、狂犬病予防接種は3月2日以降から令和7年度分として接種可能です。4月前に接種を済ませることもご検討ください。
フィラリア検査と健康診断のご案内
フィラリアの血液検査の際に、健康診断として血液一般検査も行っています。
愛犬・愛猫の健康を守るためには、早期発見・早期治療が重要です。年齢やオーナー様のご希望に応じた健康診断を実施しており、元気なときの健康状態を知っておくことも大切な目的の一つです。
犬や猫の1年は人間の4~5年分に相当すると言われています。健康に不安がある場合や、以前の検査結果が気になる場合は、お気軽にご相談ください。
年に1~2回の定期的な健康チェックをおすすめします。
- 予約は不要ですので、診療時間内にご来院の上、「健康診断希望」と受付にてお伝えください。
- 外注検査のため、院内検査より低価格で実施可能ですが、結果が出るまで約1週間かかります。
- 緊急時の診断には使用できません。
これからの時期、フィラリア検査とあわせて健康チェックを行うことをおすすめします。
検査をご希望の方は、診察時にお申し出ください。
ご不明な点がございましたら、お気軽に当院までお問い合わせください。
2024.12.21(土)
コラム
[ 【本年の佐橋動物病院における学術活動について】 ]
2024年も終わりに近づいてきました。
当院では通常診療に加え、少しでも獣医療に貢献できるよう学術活動を行っています。
本年は1本の論文発表と4本の学会発表を行いました。
(論文執筆)
論文タイトル:モルヌピラビルの短期投与により寛解した猫伝染性腹膜炎の猫 2 例
著者名:佐橋悠、佐橋三和子、中東礼子、日笠喜朗
動物臨床医学(査読あり)
猫伝染性腹膜炎(FIP)は、猫腸管コロナウイルスの変異によって引き起こされる大変予後の悪い疾患です。 GS-441524 の投与が FIP の治療に有効であることが報告され、FIP治療薬として注目されています。 しかし、この薬剤は、ムチアンなどサプリメントとして販売されている高価な非正規製品もしくは試薬として入手する必要がありました。 これらは非正規の未承認薬であり、倫理的に問題のあるコピー製品であるため、代わりになる治療を検討する必要がありました。
新型コロナウイルス感染症の流行により,新規の抗ウイルス薬が入手可能になりました。モルヌピラビルは,新型コロナウイルス感染症の治療薬として FDA による緊急使用承認(EUA)の下で入手可能になり,猫の FIP においても有効性が報告されています。しかし,FIP 治療におけるモルヌピラビルによる詳細な治療報告は未だ少なく,様々な病態の症例に対する用量および投薬期間などは定まってません。
今までの報告ではモルヌピラビルの投薬期間は , 12 週間程度が推奨されていますが、これは Pendersen らによる GS-441524 の報告に基づいているため、学術的な根拠が乏しいと考えます。
今回、FIP においてモルヌピラビルをより短い投与期間で治癒し、その後再発の認められていない2症例に遭遇したためその経過を報告させていただきました。FIP においてモヌルピラビルは臨床所見が消失した時点で休薬しても治癒する可能性があることを示した報告となります。
(学会発表)
発表演題:X線およびコンビームCTを用いた小型犬における吸収病巣の評価 .
発表者:佐橋 三和子, 佐橋 悠, 中東 礼子, 日笠 喜朗
日本小動物歯科研究会症例検討会 :東京(3月)
歯根吸収は犬、猫、人などで報告され、偶発的なX線所見として認められるものから、炎症による痛みを伴う治療の必要なものがあります。猫の吸収病巣は多くの報告があり、病態分類は病変の正確な位置や種類より、吸収過程の程度が重視されています。一方、犬の吸収病巣の分類はAVDCのNomenclature Committeeによる吸収病変の程度に基づいた5段階分類法やヒトの分類方法に基づいた分類の報告がありますが、猫に比べ犬の吸収病巣の分類報告は少なく、疫学的側面も不明です。本発表は、小型犬における吸収病巣をX線およびコンビーム式CT(CBCT)を用いて分類し、有症率を調べ発表を行いました。
発表演題:慢性腎不全の犬に対して歯科処置を行った2例 .
発表者:佐橋 三和子, 佐橋 悠, 中東 礼子, 日笠 喜朗
日本小動物歯科研究会症例検討会:東京 (3月)
歯周病が全身に与える影響とその関連性が認識されつつあります。歯周病由来の局所の炎症が全身に波及し、口腔から離れた組織に悪影響を及ぼすと考えられています。人においては、歯周病と腎不全との関連性が深く、歯周病が腎機能の低下を促進する一方、歯周病治療によって腎不全が改善するという報告があります。犬においても歯周病と慢性腎不全の重症度の関連性が示唆されていますが、腎不全における歯周病治療の効果に関する報告はありません。本発表は、慢性腎不全の犬に歯周病治療を行うことで、腎機能パネルの改善を認めた2例を経験したので、その概要を発表しました。
発表演題:X線およびコンビームCTを用いた小型犬における吸収病巣の評価 .
発表者:佐橋 悠, 佐橋 三和子, 中東 礼子, 日笠 喜朗
動物臨床医学会年次大会 (2024):大阪(10月)
この発表は3月に日本小動物歯科研究会で発表したものに症例数を加え改めて発表を行いました。
発表演題:犬の肺動脈狭窄症(PS)に対するイマチニブとシルデナフィル併用長期治療の1例
発表者:佐橋 悠, 日笠 喜朗
日本獣医循環器学会定例大会(2024):大阪(12月)
肺動脈狭窄症(PS)は、犬における先天性心疾患の一つであり、その発生率は比較的高く、先天性失疾患の32.1%に達することが報告されています。PSは肺動脈弁付近の狭窄によって右心室から肺への血流が制限され、右心室に過大な負荷をかけます。軽度のPSでは治療を必要としない場合もありますが、重度の場合、右心室への血液のうっ滞が心不全を引き起こすことがあります。イマチニブはPDGF受容体のリン酸化を阻害することで、慢性骨髄性白血病や肺高血圧症(PH)の治療に効果があるとされています。一方、シルデナフィルは選択的ホスホジエステラーゼ5阻害薬であり、肺血管抵抗を低下させる作用があります。本報告では、イマチニブとシルデナフィルの併用療法がPSを有する犬の症例において有効であった経過を報告しました。
また日本獣医師会近畿地区三学会審査委員をさせていただき、動物臨床医学会年次大会および日本獣医循環器学会では症例発表の座長を務めさせていただきました。
今後も継続的に学術的な活動も行っていきたいと思います。
よろしくお願いします。